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友安昌幸 - 合同会社アミコ・コンサルティング
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半導体市場が大きな転換期を迎えている。2025年は、AIと高性能コンピューティングの需要急増により、世界半導体市場が前年比15%成長するという予測が出ている。この成長率は、単なる数字以上の意味を持つ。
半導体は、私たちの生活を支える電子機器の心臓部だ。スマートフォンからクラウドデータセンター、自動車に至るまで、あらゆる場所で活躍している。そして今、生成AIの台頭により、その重要性はさらに高まっている。
では、2025年の半導体市場は具体的にどう変わるのか? 市場を形作る重要トレンドは何か? そして、この変化は私たち消費者や企業にどのような影響をもたらすのだろうか?

世界半導体統計(WSTS)の2024年秋季半導体市場予測によると、2024年の半導体市場は前年比19%増の6,268億ドル、2025年はさらに11.2%増加すると予測されている。この成長は、データセンター投資やAI機能搭載端末の増加など、AI関連需要の牽引によるものだ。
一方、IDCの最新レポートでは、2025年の世界半導体市場は前年比15%成長し、2nm技術の量産化やパッケージング技術の進化が業界の地図を塗り替えると予測している。
どう思いますか? この成長率は、コロナ禍からの単なる回復ではなく、AIという新たな原動力による本格的な市場拡大の始まりかもしれない。
2025年、半導体市場の最大の原動力となるのはAIだ。IDCのレポートによれば、AIが高性能な論理プロセスチップの需要を推進するだけでなく、高価格帯の高帯域幅メモリ(HBM)の普及率も引き上げている。
特にメモリ分野では24%以上の成長が見込まれている。この成長を牽引するのは、AIアクセラレーター向けのHBM3やHBM3eの普及だ。さらに2025年後半には、新世代のHBM4も登場する予定である。

非メモリ分野も13%成長する見通しだ。AIサーバー用の先端プロセスIC、ハイエンドスマートフォン用IC、Wi-Fi 7関連ICなどの需要拡大が見込まれている。さらに、消費者向け電子機器市場の回復もこれを後押しする。
AIチップの需要増加は、単にデータセンターだけの話ではない。スマートフォンやパソコン、自動車など、私たちの身近な製品にもAI機能が搭載されるようになり、それに伴って高性能な半導体の需要が増えているのだ。
私が半導体製造装置開発に38年携わってきた経験から言えることは、このAI需要の波は過去のどの技術革新よりも大きなインパクトを持っているということだ。クラウドだけでなく、エッジデバイスでのAI処理能力が求められる時代になっている。
2025年の半導体市場を語る上で避けて通れないのが、米中対立の深まりだ。トランプ政権の関税政策は、半導体産業に大きな影響を与える可能性がある。
中国は半導体の自給率強化を進めており、2025年には中国の月産枚数が2024年と比べて14%増加し、1010万枚に達する見込みだ。これは世界市場の約1/3を占める規模となる。